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異夢らいおん

Author:異夢らいおん
1986/2/18生まれ。
北陸に住む大学生。
高校までは神奈川。
現在は情報関係について勉強しとります。


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べとべた

茹だるような暑さ。
蝉が延々と同じリズムを刻み続ける。
街から人通りが消えるのも無理はない。
まったく見知った顔のない街中。
犬が狂ったように吠え続ける。
静か過ぎる。
すれ違う人々は汗ひとつかいていない。
街路樹が一本もないこの道。
雑木林にいるような、蝉の大群の合奏が鳴きやまない。
なにかがおかしい。
まるで異次元に迷い込んだような錯覚。
否、ここに今存在する自分こそが錯覚なのだろうか。
……狂ってる。
迷い込んだら二度と元には戻らない、そんな狂いだ。
足元がおぼつかない。
アスファルトに食い込む感触。
なにか柔らかい有機物を踏みつけているようだ。
さらに持ち上げる足はまるでヘドロから抜き出すかのようだ。
思わず足を取られる。
後ろに手をついて倒れこむ。
手がべたつく。
赤い。
……これは臓物か。
ああ、なんだ。
自分は今、これまでに殺した人の、
腐乱した屍骸の上を歩いているのか。
あれほど耳障りだった蝉の音はなくなり、
景色自体が変わっていた。

自分がどうやら周りに不幸を振りまく存在だということに、
小学校の5年のときにしてようやく気がついたんだ。
ソファーに沈み込み、俯く男は告白した。
それは人を変えてしまうような、そんな狂いだった。

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